サバイバー



朝の八時に携帯に大学の友人からメールがきました。


一昨年亡くなった子の夢を見たとのこと。


友人の友人として彼女と知り合った私は詳しい事情を知ることもなく、個人的な会話をしたことも大して多くありませんでした。


Cocco鬼束ちひろが大好きでした。
いつも可愛い格好をして笑っていました。
とっても甘えんぼさんでした。そんな自分が大好きで、大嫌いでした。


兆候は大学入学以前からあったようですが、なれない一人暮らしのせい彼女は静かに精神のバランスを崩していきました。
これ以上一人暮らしは危険だという判断で彼女は大学を休学し、実家に戻っていきました。
実家にいるだけでは状態は良くならないとの事で入院治療をする予定だと聞いていました。
そのころの彼女は表情が堅くなり、上手く笑えなくなっていました。


私は夏休み明けにはまた状態の良くなった彼女と会えるつもりでした。


夏休み、慣れたバイト先で取った電話が彼女の死を知らせました。


呆然としたままバイトを終えて、あらためて電話をしてくれた友人に連絡を取りました。
私は「死」というものが理解できず混乱していました。
友人は「私達はサバイバーなんだよ」と云いました。
生き残りの我々は「死」を受け止める以外に出来ることはない、そう云っているようでした。


あれから一年、情けないサバイバーを彼女は笑って見に来たのでしょう。